洗濯洗剤の成分
洗濯洗剤には汚れを落とす作用の他に品質を保つため、下記のような様々な成分が入っています。
成分によって働きが異なり特性があるので、それぞれの成分の性質を知っておくと、洗剤を選ぶ際の手助けになります。
- 界面活性剤
- 漂白剤
- 蛍光剤・蛍光増白剤
- アルカリ剤
- 酵素
界面活性剤
界面活性剤とは、洗剤の主な成分で汚れを落とす働きがあります。
界面活性剤は「水」と「油」の2つの性質を持っていて、本来混ざることのないこの2つの物質間にある壁を変化させて、汚れを溶かして落としやすくしています。
ちなみに泡は界面活性剤の作用によりできていて、汚れを吸着して液面に浮き上がらせ、洗っている洗濯液の汚れを少なくして洗浄効果を高める働きをしてくれます。
ただ、泡が多すぎると規定のすすぎの回数では泡が落ち切らず、逆に洗浄効果が弱くなってしまうので注意してください。
漂白剤
汚れや色素を科学的に分解します。
白さを出すために色味を落とす薬剤で、シミのように色のついた汚れを取り除いて白くする作用があります。
洗濯用洗剤には、色柄ものにも使えるよう酵素系の漂白剤が使用されています。
蛍光増白剤 (蛍光剤)
紫外線を吸収すると青紫色を発光する染料の1つで、白い衣類に多く使われていて、白いものをより白くする働きがあります。
綿・麻・レーヨンなどの白い衣類に使われる蛍光増白剤は、洗濯するうちに少しずつ落ちてしまうので、白さを補うために少量の蛍光増白剤が入っている洗剤もあります。
生成りやパステルカラーなどの衣類に使うと、色褪せが起きたり風合いが変わってしまう恐れがあるので注意しましょう。
アルカリ剤
洗濯液をアルカリ性に保つ成分で、汚れと衣服の繊維の繋がりを弱くして洗浄力を高める働きがあります。
また、配合された酸性成分を中和して適正な液性にしてくれます。
酵素
界面活性剤の働きを助け、繊維の奥に入り込んだ皮脂やタンパク質の汚れを分解して洗浄力を高めます。
酵素が活発に活動する温度は37度前後と言われているので、洗濯の際は37度前後のぬるま湯を使い、できれば30分~1時間ほど浸け置きするとより高い効果が得られます。
洗濯洗剤の液性の種類
洗濯洗剤の多くは、中性または弱アルカリ性になっており、この液性によって洗浄力や最適な衣類も異なってきます。
中性洗剤
洗浄力が低く衣類にかかる負担が少ないので、シルクやウールといったデリケートな素材の洗濯に使われます。
目立つ汚れがない限りは中性洗剤できれいになります。
素材を傷めにくい特徴があり、手肌にも優しいので台所用洗剤には中性洗剤が多いのです。
弱アルカリ性洗剤
アルカリ性は汚れを分解する力が強く、洗浄力が高くなります。
食べこぼしや皮脂など衣類の汚れのほとんどは酸性なので、弱アルカリ性の洗濯洗剤を使えば汚れを落とす事はできますが、洗浄力が強いため衣類が傷みやすくなってしまいます。
洗剤の種類と選び方
洗濯洗剤は大きく分けて4つほどあり、それぞれの特徴は下記の通りです。
頑固な汚れ | デリケート素材 | コスパ | 手間 | 時短・節水 | |
---|---|---|---|---|---|
粉末洗剤 | ◎ | ✕ | ◎ | ✕ | ✕ |
液体洗剤 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
おしゃれ着用洗剤 | ✕ | ◎ | ✕ | 〇 | 〇 |
ジェルボール洗剤 | 〇 | ✕ | ✕ | ◎ | ◎ |
1.粉末洗剤
洗浄力が強く、粉末が溶けると液性が弱アルカリ性になり、食べこぼしや皮脂など(酸性の汚れ)の汚れをよく溶かして落としやすくしてくれます。
洗浄力が強いので1回当たりの洗剤量は少なくて済みますが、洗剤の溶け残りを防ぐため、必ず40℃以上のぬるま湯を使用して2回すすぐようにしましょう。
こんな場合におすすめ
- 小さい子供がいる
- 洗濯物を部屋干ししている
- コストパフォーマンスを重視している
2.液体洗剤
液体洗剤は基本的に中性なので、生地への負担が少なく普段着の洗濯に向いています。
汚れを分解する威力が粉末洗剤よりは劣るので頑固な汚れは落ちづらいですが、普通の汚れはキレイに落ち、洗浄力は中位といったところです。
また、洗剤の溶け残りの心配がないのですすぎは1回で済みます。
こんな場合におすすめ
- 忙しくて洗濯に時間をかけられない人
- 時短・節水したい人
3.おしゃれ着用洗剤
デリケートな素材の洗濯に特化して作られており、洗浄力は他の洗剤に比べて弱いです。
衣服の色落ちを抑えたり風合いを残すように作られてるため、蛍光増白剤が含まれていないのも特徴です。
こんな場合におすすめ
- ウールやシルクなどのデリケートな素材を自宅で洗いたい人
- 衣服への負担を軽減したい人
4.ジェルボール洗剤
特殊な膜で洗剤を包んでいて、水に溶けることで洗浄成分が広がるようにできています。
洗剤の量をはかる必要がなく、すすぎも1回で済むので手間がかからないのが特徴です。
ただし、ジェルボール洗剤の耐熱温度が35℃なので高温にならないよう保管場所に気を付ける事と、蛍光増幅剤が含まれているので、生成りやパステルカラーの衣服を洗う際は注意が必要です。
こんな場合におすすめ
- 手間をかけたくない人
- 時短・節水したい人
見た目がおもちゃみたいだから、子供の手が届かないところで保管してね!
実際に洗濯をする際の注意点
実際に洗濯を行う際は、下記の3点に注意しましょう。
- 洗濯表示の確認
- 規定量を守る
- 洗濯機の種類に合った洗剤を選ぶ
洗濯表示の確認
まず洗濯する前に洗濯表示を見て、自宅で洗濯可能な衣類かを確認しましょう。
洗濯表示が「水洗い不可」や「家庭洗濯不可」になっている場合、どんなに洗剤にこだわっても家庭で洗濯すると型崩れや縮みの原因になってしまいます。
そういった場合は無理せずクリーニングに出しましょう。
衣服の内側についている洗濯表示、目にする機会は多くても意味が分かる方は少ないんじゃないでしょうか。色々な記号がたくさん書いてあって全部を理解するのは大変ですよね。でも意味がわかるとスムーズに洗濯ができて、衣服のお手入れもしや[…]
規定量を守る
洗濯機の種類に合った洗剤を選ぶ
洗濯機によっては、縦型全自動洗濯機とドラム式洗濯機それぞれで使える洗剤が異なる場合があります。
例えば、ドラム式洗濯機は少量の水で洗濯物をたたき洗いするので、洗剤量が少なくてすすぎの回数も少ない液体洗剤を使うことをおすすめします。
環境によって洗濯洗剤を使い分けよう
- 粉末洗剤=泥・食べこぼしなどの頑固な汚れ
- 液体洗剤=時短・節水
- おしゃれ着用洗剤=デリケートな素材
- ジェルボール洗剤=時短・節水・手間をかけたくない