【ウール洗濯】自宅での正しい洗い方と縮んでしまったセーターを元に戻す方法

ウール洗濯

ウールの衣類は冬場出番が多いアイテムです。しかし洗濯に困ってしまうアイテムでもあります。縮んでしまうかもと思うとなかなか洗濯できない、かといってお金がかかるので、いつもクリーニングに出す訳にはいきません。

実はドライマークが付いているウール衣類であっても、家庭で洗えるものがあるのです。ここではウールの洗濯についてまとめています。正しい扱いや洗濯方法を確認し、お気に入りの衣類を清潔に長く着られるようにしましょう。

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なぜウールを洗濯すると縮むのか?原因を探して注意点を見つけ出す

「ウールを洗濯したら縮んでしまった」という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。そもそも、なぜウール製品を洗濯すると失敗してしまうことが多いのでしょうか。

ウールが縮む原因

ウールとは一般的には羊の毛を指しますが、正確には動物の毛の総称を意味します。表面は人間の髪の毛と同様、「スケール」と呼ばれるうろこ状になっています。通常はこのスケールが閉じた状態になっているのですが、水に濡れるとスケールが開いてしまいます。この変化が縮みの原因です。

スケールが開いた状態で揉まれるなど、力が加わると繊維同士が絡まってしまいます。絡まった状態のまま乾いてスケールが閉じてしまうと、結果布全体が固く縮んでしまうのです。この縮みを「フェルト化収縮」と呼び、水温が高ければ高いほど起きやすくなります。

【注意点】ウールが縮まないためには、強い力で洗わないこと

ウールの特性が分かれば、必然的に洗濯する際の注意点も分かってきます。まず洗うときに強い力を加えないことが大切になります。こうすればスケールが開いたとしても、繊維同士が絡まらず縮みません。洗濯機は強い負荷になるので使用を避け、手洗いしましょう。手洗いと聞くと力を入れて一生懸命擦るイメージがありますが、ウールの場合は厳禁です。「洗う」というよりも水の中を泳がせるように洗うといいでしょう

スケールが開くのを防ぐのも、縮みの予防になります。しかし水に浸けなくては洗えないので、ドライマーク用洗剤を使います。シリコン樹脂で繊維の表面を覆い、スケールが開きにくくなるのです。ウールを洗う際は、普通の洗剤ではなく専用のものを使うようにしましょう。ただしスケールの開きを完全に予防できる訳ではないので、洗い方も同時に注意する必要があります。

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【ウールの正しい扱い】洗濯表示・温度・洗う頻度について

ウールを自宅で洗濯したいときは、まず洗濯表示をチェックします。ウールを洗う水の温度、洗濯する頻度について詳しく説明します。正しいウールの扱い方法を知り、洗濯前の準備をしましょう。

1.洗濯表示を確認する

ドライマークが付いているなら、ドライクリーニングができるという意味です。これはドライクリーニングしかできないという意味ではないので、手洗いマークが一緒に表示されているなら、家庭での洗濯もできるという意味です。ただし使う洗剤はドライマーク対応の物を選びましょう。ドライマークは丸印に「ドライ」の文字で表示されているので、すぐ分かります。

海外からの輸入衣料の増加に伴って世界基準の新しい洗濯マークが導入されており、そちらが表示されている場合もあります。その場合は丸印に「P」あるいは「F」と書かれています。手洗いの可否は、従来マークでは桶に「手洗イ」の文字、新しいマークでは桶に人の手が入っているマークで表されています。

洗濯する前に、色落ちチェックを行っておくのも大切です。目立たない場所に洗剤の原液を少量点け、5分ほどおいて白いタオルなどで軽く押さえて色落ちしないか確認しておきましょう。また、シミや汚れがある場合は事前に落としておきます。

2.温度は30度位のぬるま湯で

ウールを洗うときは、最初から最後まで30度位のぬるま湯で洗います。ウールは動物の毛であり、タンパク質でできています。そのため熱いお湯につけると繊維が変質してしまうのです。また、水温が高いとスケールが開きやすくなるため、余計に縮みやすくなってしまいます。かといって、冷水も適してはいません。確かに縮みにくくはなりますが、水温が低すぎると洗剤が溶けず洗浄力が落ちるからです。また皮脂などの汚れは低温では落ちにくく、洗濯の意味がなくなってしまいます。

3.ウールを洗う頻度は、10回着用で1回の洗濯を目安に

綿などの衣類は着る度に洗いますが、ウールの場合は洗い過ぎない方が長持ちします。特別汚れたという場合を除いて「10回着用したら、1回洗濯」位を目安にするといいでしょう。洗い過ぎると風合いを損ねたり毛玉が増える原因になるからです。

首回りなど肌に直接触れる部分が気になるなら、その部分に予め汗ジミ防止処理をしておきましょう。汗は時間を置かなければ水だけで取ることができるので、キッチンペーパーなどを汗をかいた部分の内側に当て、濡れタオルで表面を叩けばペーパーに汗を出すことができます。こうしておけば、着る度に洗わなくても綺麗な状態でウールを楽しむことが可能です。

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重曹はウールの洗濯に適している?そのほか洗濯に使えるもの

洗剤にはいろいろな種類がありますが、ウールにはどのようなものが適しているのでしょうか。洗剤には大きく分けて弱アルカリ性と中性のものがあります。両者を比べると、弱アルカリ性の方が洗浄力に優れています。

一般的に使われている粉末洗剤は弱アルカリ性で、皮脂や汗、食べこぼしなどを洗うのに適しています。ただし弱アルカリ性洗剤の強い洗浄力は、色落ちや線維の傷みを起こすことがあるので、ウールには向きません。タンパク繊維がアルカリ性に弱いという特性もあるため、ウールを洗うときは中性洗剤を使うのが有効です。

重曹

重曹を使って洗濯する方法も注目を集めていますが、ウールに使うときは注意が必要です。重曹は細かい粒子でできているため、繊維の間に入り込んで生地を傷めてしまう可能性があります。また、重曹は弱アルカリ性だということも覚えておきましょう。ウールに使うときは、クエン酸など中性のものを加えてアルカリ度を下げるようにします。

クエン酸

ウールの洗濯にクエン酸を使うこともあります。クエン酸は酸性のため汚れを落とすことはできませんが、アルカリ性の洗剤で洗った後の仕上げ材として使うと、アルカリ性になった洗濯物を中和することができるのです。

コンディショナー

髪を洗うときに使うコンディショナーを、ウールの洗濯に使うことができます。そもそもコンディショナーは髪の表面に油膜を作り、摩擦から保護する役割を持っています。そのため、繊維同士が絡まるのを防いでくれる効果が期待できるのです。仕上がりが柔らかくなる効果もあります。

粉石けん

粉末状になった石けんを粉石けんと呼び、洗濯にも使用することができます。石けんには「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリウム」という種類の界面活性剤が配合されています。天然由来の成分なので繊維へのダメージは穏やかで、衣類をふわふわの仕上がりにすることが可能です。ただし、粉石けんは一般的な粉末洗剤に比べて、溶けにくいというデメリットがあります

十分溶かさずに洗濯に使用すると、石けんカスが発生したり洗浄力が落ちたりすることがあるため注意が必要です。石けんカスを防ぐために「アルカリ剤」が配合されている粉石けんも多いですが、これが入っているとアルカリ性が強くなってウールには適しません。純石けん分が高いものを選ぶようにしましょう。

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【洗濯機・手洗い】ウールの洗濯方法から干し方まで

洗濯機によっては、「手洗いコース」など利用してウールを洗うことができるものもあります。洗濯機で洗うことができれば洗濯の手間を大幅に減らすことが可能です。ただし手洗いに比べて繊維への負担はどうしても高くなってしまいます。手洗いであれば繊維への負担を最小限にできるというメリットがありますが、当然手間はかかります。自分に合った洗濯方法を選ぶようにしましょう。

1.洗濯機で洗うとき

ウールを洗うときは全体を裏返して畳み、洗濯ネットに入れます。裏返すことで表面の毛羽立ちを防ぐことができ、洗濯ネットは繊維へのダメージを防いでくれます。すすぎ洗いまでは洗濯機で可能ですが、脱水機にかけるのは避けましょう。どうしてもかけたい場合はネットに入れたまま、30秒以内の短い時間で済ませるのが重要です。

2.手洗いするとき

洗面器や洗い桶などに水を張り、洗剤を入れてまず洗剤液を作ります。液の中に畳ん衣類を入れ、一旦優しく沈め、次にそこから持ち上げるようにして浮き上がらせます。こうすることで洗剤液を繊維の奥まで届けることができるのです。

【重曹を使った手洗い方法】
1.洗面台に水を張って服を十分濡らす
2.重曹を振りかけ、擦らないように注意する
3.優しく押し付けるようにして洗いすすぐ
4.クエン酸で仕上げ洗いする
5.汚れが落ちたら水ですすぐ

洗い方をマスターしたら、干し方も確認しておくことが重要です。洗濯が終わったあと、油断してぎゅっと絞らないようにしましょう。強い力を加えると、繊維同士が絡まって縮みの原因になります。水気を切るときはバスタオルを被せ、押し付けるようにして水分を取っていきます。

3.ウールの干し方

ウールを干す時は、黄ばみや色汗を防止するため、陰干しが原則となります。しかし、単にハンガーにかけるだけでは、水分の重みで垂れ下がって型崩れの原因になります。そのため、ウールを干す時は平干しがベストです。市販の平干し用ネットを使うなどして干していきましょう。

ウールはシワができにくい素材ですが、アイロンをかけたいときはスチームでふんわりと仕上げることが重要です。強くプレスしてしまうと、せっかくの風合いが台無しになってしまいます。

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【縮んだウールを元に戻す方法】髪用のトリートメントを使用する

お気に入りのウール衣類が縮んでしまったら、もう諦めるしかないのでしょうか。実は縮んだウールは、髪用のトリートメントを使うと回復させることができます。ウールが縮んでしまうのは、繊維同士が絡まり合っているからです。これは髪が絡まっている状態とよく似ています。

ウールは動物の毛でできているのですから、同じく人間の髪に使うトリートメントで修正することができるのです。ポイントはシリコン入りのものを選ぶことです。シリコンは家庭で広く使われているトリートメントにはまず入っている成分で、ウールに吸着しやすい特性があります。

やり方

1.トリートメント液を作る
トリートメントはお風呂の温度くらいが一番溶けやすいので、40度くらいに温めたお湯に溶かしこんでいきます。お湯2リットルに対して、大さじ1杯程度溶かせば十分でしょう。

2.トリートメント液を30度くらいまで冷ます
40度のお湯にウール製品を入れると、その温度でタンパク質が傷んでしまうので、このトリートメント液を30度くらいまで冷まします。

3.縮んでしまったウールをトリートメント液に浸ける
裏も表もまんべんなくトリートメント液が付くようにします。全体に行き渡ったら、すすぎを行うことなく脱水します。ごく短時間、高速回転に入ったら10秒ほどでストップさせましょう。

4.平干しで乾燥させ、アイロンで形を整える
この時点でかなり縮みは解消されているはずです。アイロンのスチームをたっぷりと当て、手でやさしく伸ばしていきましょう。なかなか根気がいる作業ですが、少しでも元の大きさに戻るよう調整しましょう。間違っても強く引っ張ってはいけません。また、完全に元に戻すのは難しいので、ある程度妥協することも必要です

まとめ

  • 強く洗うとウールが縮む原因に
  • 洗剤は中性洗剤が最適
  • ウールの洗濯は手洗いの方が良い
  • 縮んだウールは髪用トリートメントを使って元に戻す

 

手洗いマークがついているウール製品なら、自宅で洗濯することも可能です。ただし縮めてしまわないように優しく洗うことが重要です。また、洗濯する頻度や使う洗剤の種類についても気を配るようにしましょう。自宅で洗濯することができれば、より気軽にウールを楽しめるようになります。適切な手入れを行って、お気に入りの服を長く楽しみましょう。

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